2011年07月26日
白熱教室JAPANで、石原吉郎が取り上げられます。
- 川本隆史(かわもと たかし)
-
- 東京大学大学院教育学研究科教授
1951年広島市生まれ。広島で小・中・高時代を過ごし、1975年、東京大学文学部倫理学科卒。1980年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程終了。博士(文学)。
東京大学大学院教育学研究科教授。専門は社会倫理学と応用倫理学。
ジョン・ロールズとキャロル・ギリガンの著作に触発されて、正義とケアを兼ね備えた社会のあり方を構想するとともに、被爆をめぐる「記憶のケア」を通じて、「記憶の共有」の途を探ろうとしている。
主著『現代倫理の冒険』(創文社)、『ロールズ:正義の原理』(講談社)、『共生から』(岩波書店)。翻訳(共訳)にジョン・ロールズ『正義論[改訂版]』(紀伊国屋書店)ほかがある。 - 東京大学大学院教育学研究科教授
「行動する倫理学者」として知られる東京大学大学院教授川本隆史さんが「正義」と「記憶の手入れ」について、広島大学で行った特別講義を取り上げます。受講生は、広島大学の学生に加え、公募に応じた10代から70代までのおよそ200人。東日本大震災によって日本社会が直面しているさまざまな問題についても、対話形式で議論します。
川本教授は、ハーバード大学マイケル・サンデル教授の授業でたびたび取り上げられているアメリカの倫理学者ジョン・ロールズの主著「正議論」の新訳を10年がかりで出したばかりです。自らも祖父が被爆体験を持つ川本教授は、ロールズがGHQの一員として原爆投下直後の広島の惨状を目の当たりにし、後に「原爆投下は道徳上の不正行為」と主張したことから、ロールズが提示した「正義」の問題に、いま改めて向き合うべきだと考えています。
被爆地ヒロシマから、原爆の体験を見つめなおし、今フクシマで原発事故に直面する人々に向けて何が伝えられるのか、2回にわたって議論します。
- 第1回「ヒロシマからフクシマへ届けられるもの 前編」 7月24日(日) Eテレ 午後6時
- いま被爆地ヒロシマで、人々は、原発事故による困難に直面しているフクシマのことをどう捉え、どんな思いを寄せているのか。講義は、福島第1原発事故についての緊迫した議論から始まります。そして、悲惨な戦争を体験し、被爆直後の広島の惨状を目撃した経験をもとに、独自の社会正義論を組み立てたアメリカの倫理学者ジョン・ロールズの歩みを振り返りながら、原爆投下はなぜ正義に反するのかを受講生とともに議論。ヒロシマから
再び「核」の被害に見舞われたこの国に向けて、3・11後の「核」と「正義」を問い直します。 -
- 第2回「ヒロシマからフクシマへ届けられるもの 後編」 7月31日(日) Eテレ 午後6時
- 被爆地ヒロシマだからこそ、今届けられる言葉があるのではないか。原爆詩人栗原貞子とシベリア抑留の詩人石原吉郎、二人のやり取りを手がかりに、これまで「一瞬のうちに命を奪われた多くの被爆者」と一括されてきた被爆者一人ひとりの、暮らしと思いに立ち返って被爆の記憶を解きほぐし、手入れすることにより当事者以外の人々も共有しうる道筋を議論します。
また東日本大震災に立ち向かう日本の人々への、ハーバード大学マイケル・サンデル教授のメッセージを紹介、原爆の体験を持つヒロシマから、いま原発事故に直面するフクシマへ届けられるものとは何か。3・11後の「核」と「正義」を受講生と共に問い直します。