動物という隣人

動物という隣人

共感と宗教から考える動物倫理

鬼頭葉子
本体価格:5,450円(10%税込定価: 5,995円)

サイズ:A5判 400ページ
ISBN:978-4-400-40760-7 C1016
発行年月:2023/03/24

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内容紹介

我々は脆弱で依存的であるがゆえに動物という「隣人」と共に生きる存在である――

哲学とキリスト教神学からのアプローチにより、従来の理論に潜む人間中心主義を克服すべく、共感とアガペーに基づいた新たな動物倫理を構想する。

動物の権利は関係的権利であり、脆弱性が権利の源泉となる。脆弱性とは有限性と依存性であり、依存性ゆえにすべての生は連帯し、関係的存在となりうる。脆弱性はときに苦しみをもたらすが、その苦しみに対する共感が共同体における合意形成を促し、動物への配慮を権利化する。宗教は、動物を含むすべての生に対する脱人間中心主義的な視点を提供し、アガペーとケノーシスに基づく倫理的配慮の可能性をも示唆する。

【目次より】
第1章 動物倫理の思想史
 第1節 哲学における動物の位置づけ
 第2節 シンガー、レーガンの動物倫理とそれに対する批判
 第3節 フェミニズムおよび徳倫理学に基づく動物倫理
 第4節 キリスト教神学に基づく動物倫理
第2章 現代の哲学、倫理学における共感という感情
 第1節 共感概念の思想史
 第2節 シェーラーの共感概念と宗教哲学
 第3節 ヌスバウムの同情概念
 第4節 スロートの共感概念と社会正義
 第5節 動物倫理に資する共感概念
第3章 日本における動物倫理の思想的可能性
 第1節 日本文化における動物の地位
 第2節 動物供養と動物倫理
 第3節 西谷啓治の宗教哲学と動物倫理
第4章 肉食と動物倫理――キリスト教神学からのアプローチ
 第1節 食に関する神学と動物神学
 第2節 キリスト教神学における憐れみと美徳
 第3節 食べることと美徳
第5章 多様な動物の包摂――新たな動物倫理モデルの検討
 第1節 動物権利論とケアに基づく動物倫理の課題
 第2節 権利概念の再考
 第3節 関係概念の再考
 第4節 権利・共感・宗教モデルと動物への倫理的配慮の拡張

【著者について】
きとう・ようこ氏は2000年東京大学文学部卒業、2007年京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定、2010年博士号取得(文学、京都大学)。イェール大学神学部客員研究員、長野工業高等専門学校一般科准教授などを経て、現在、同志社大学文学部哲学科准教授。専門は宗教哲学、キリスト教学、倫理学。
著書 『時間と空間の相克─ 後期ティリッヒ思想再考』(ナカニシヤ出版、2018年)、『技術の倫理─ 技術を通して社会がみえる』(ナカニシヤ出版、2018年)。
共著 Tourism Experiences and Animal Consumption – Contested Values, Morality and Ethics (Routledge, 2018), Climate Crisis and Creation Care: Historical Perspectives, Ecological Integrity and Justice (Cambridge Scholars Publishing, 2021)、『危機の時代と田辺哲学─ 田辺元没後60周年記念論集』(法政大学出版局、2022年)ほか。

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